展覧会「建築家・本野精吾展 −モダンデザインの先駆者−」
■概要
本野精吾(1882〜1944)は、大正から昭和初期にかけて京都高等工芸学校(現・京
都工芸繊維大学)教授を務め、建築家やデザイナーとして活躍した人物です。東京帝
国大学建築学科を卒業後、当時京都高等工芸学校教授であった武田五一の招きによっ
て、1908年に同校の図案科教授に就任します。その後、ドイツ留学を挿んで35年間に
わたって同校の教育をリードしながら、作家として多彩な活動を行いました。
建築作品は、西陣織物館(現・京都市考古資料館、1914年)、本野邸(1924年)、
鶴巻邸(現・栗原邸、1929年)、京都高等工芸学校本館(現・京都工芸繊維大学3号
館、1930年)の4作品が現存しています。そのうち2作品がモダニズム建築の保存に関
する国際組織DOCOMOMO Japanに選定されるなど、いずれも歴史的・文化財的価値が高
く評価されています。中でも本野邸は、中村鎮式コンクリートブロック造によって、
高い機能性や合理性、抽象性が獲得されています。理念と形態の両面を追求した、日
本で最初のモダニズム建築と言っても過言ではありません。また1927年には「日本イ
ンターナショナル建築会」を設立し、その後ブルーノ・タウトの来日を実現させたこ
とでも知られています。
しかし本野の活動は、建築にとどまらず、インテリアや家具、食器、工芸、グラ
フィック、舞台、衣装、さらに船体デザインにまで及びました。広告についての研究
団体「プレスアルト研究会」を設立し中心的役割も担いました。さらにエスペラント
語の普及に努め、南画を嗜み、ヴァイオリンを演奏し西洋音楽の普及にも貢献しまし
た。
本野の作品は、原理原則を重視するというモダニズムの理念と方法に支えられてい
る一方で、装飾を拒否することなく、また日本の伝統的な意匠も重視しました。それ
は、京都独自のモダニズム建築・デザインのあり方だったと言えるかもしれません。
本展覧会の開催が、一作家の足跡の紹介に留まらず、従来のモダニズム観を再考す
る機会となることを目指しています。
■会期・入場料
開催期間:2010年1月18日(月)〜3月11日(木)
休 館 日:日曜・祝日、および1月30日(土)・2月25日(木)・26日(金)
開館時間:午前10時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
入 館 料:一般200円、大学生150円、高校生以下無料
■場所
京都工芸繊維大学美術工芸資料館
(京都市営地下鉄烏丸線松ヶ崎駅下車1番出口から徒歩約10分)
〒606-8585 京都市左京区松ヶ崎御所海道町
TEL:(075)724-7924
http://www.cis.kit.ac.jp/~siryokan/
■シンポジウム
日時:2010年2月13日(土)14:00〜17:00
会場:京都工芸繊維大学 1号館1階0111講義室
定員:150名
入場:無料
申し込み:不要(当日先着順)
パネラー:
藤森照信(東京大学教授)
西澤英和(関西大学准教授)
宮島久雄(前・国立国際美術館館長)
笠原一人(京都工芸繊維大学大学院助教)
司会:松隈洋(京都工芸繊維大学教授)
■展覧会・シンポジウム問い合わせ先
京都工芸繊維大学美術工芸資料館
〒606-8585 京都市左京区松ヶ崎御所海道町
TEL:(075)724-7924
E-mail:siryokan@kit.ac.jp